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相続

【大阪の相続弁護士が教える】徹底解説・相続放棄の熟慮期間~期間満了日が休日の場合はどうする?~

2021.04.14

1.相続放棄の熟慮期間とは?

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続放棄をしなければならないとされています(民法915条1号)。

 

この3か月という期間のことを「熟慮期間」といいます。

 

上記のとおり、民法においては「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と規定されていることから、相続人が、亡くなった方(被相続人)の死亡の事実を知らなかったときや、自分が相続人であることさえ知らなかったときなどは、熟慮期間は進行しません。

 

つまり、被相続人の死亡した日から3か月以上経過していても相続放棄ができる場合もあるということになります。

 

たとえば、1月1日に被相続人が死亡し、相続人であるAさんは2月15日に被相続人が死亡したことを知り自分が相続人であることを認識しました。現在は4月15日というケースがあったとします。

 

この場合、被相続人の死亡日からはすでに3か月以上が経っていますが、Aさんが相続開始の事実を知ってからはまだ3か月が経過していませんので、相続放棄できるということになります。

 

 

2.熟慮期間の具体例~いつからいつまで?~

具体例を挙げてもう少し細かく説明してみたいと思います。

 

たとえば、1月1日に被相続人が死亡したとして、被相続人の実子であるBさんはこの日に被相続人を見取りました。つまり、1月1日にBさんは相続開始の事実を知ったということになります。

 

この場合、3か月の熟慮期間は一体いつからいつまでなんでしょうか?

 

熟慮期間の満了日は4月30日なのか5月1日なのか?それとも5月2日なのでしょうか??

 

この点について、民法には次のような規定があります。

 

民法140条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前0時から始まるときは、この限りでない。

 

民法141

前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

 

民法140条によって初日は算入しないので、上記ケースの熟慮期間の起算日は1月2日ということになります(ただし、1月1日午前0時に死亡し、その時にBさんが相続開始の事実を知ったという場合であれば、民法140条ただし書の規定によって、熟慮期間の起算日は1月1日ということになります)。

 

そして、期間の末日の終了をもって満了となるので(民法141条)、熟慮期間の満了は1月2日から3か月後の4月1日午後12時(4月2日午前0時)になります。

 

よって、Bさんは1月2日から4月1日までの間に相続放棄の手続をしなければなりません。

 

 

3.期間満了日が休日の場合

では、期間満了日である4月1日が休日の場合はどうでしょうか?

 

このような場合についても民法に次のような規定があります。

 

民法142条

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

 

この規定だけを見てもよくわからないかもしれませんが、

 

原則:休日であっても期間は満了する

 

例外:休日に取引をしない慣習があれば、休日の翌日に満了する

 

ということだと理解していただければ問題ありません。

 

ただ、例外といっても、この例外にあたるケースが実際には多いと思います。

 

相続放棄に話を戻すと、まさにこの例外にあたる規定が家事事件手続法と民事訴訟法に存在します。

 

家事事件手続法34条

1 家事事件の手続の期日は、職権で、裁判長が指定する。

2 家事事件の手続の期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。

3 家事事件の手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り、することができる。

4 民事訴訟法第九十四条から第九十七条までの規定は、家事事件の手続の期日及び期間について準用する。

 

 

民事訴訟法95条

1 期間の計算については、民法の期間に関する規定に従う。

2 期間を定める裁判において始期を定めなかったときは、期間は、その裁判が効力を生じた時から進行を始める。

3 期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和23年法律第178号)に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日から12月31日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する。

 

 

要するに、家事事件手続法34条4項が準用する民事訴訟法95条3項の規定によって、家事事件の一つである相続放棄事件においては、期間満了日が休日の場合には翌日が満了日になるということです。

 

先ほどのケースでいうと、4月1日が休日の場合には、その翌日である4月2日が休日でなければこの日(4月2日午後12時)が熟慮期間の満了日ということになります。

 

 

4.応当する日がない場合の注意点

もう少しだけ細かい話をしてみましょう。

 

たとえば、ある相続人が11月29日に相続開始の事実を知ったという場合、熟慮期間の起算点は11月30日となります。

 

11月30日から3か月を数えるとして、、、

 

2月には30日がないのでどうすればいいでしょうか?

 

2月28日を満了日とすればいいのか、それとも30日まであると仮定して、3月2日を満了日とするのでしょうか。

 

この点については、以下のような規定が存在します。

 

民法143

1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 

この条文に照らすと、「起算日に応当する日」は2月30日ということになります。

 

しかし、2月30日は存在しませんので、ただし書が適用されることになり、2月末日つまり2月28日が満了日になるというわけです。

 

このように、相続放棄をするにあたっては3か月の熟慮期間がありますので、時間には余裕をもって手続を行いたいところです。

 

もっとも、相続放棄の手続に必要な戸籍謄本などの書類の収集に意外と時間がかかってしまうこともあります。

 

できる限りスピーディに手続を進めるためには弁護士などの専門家に依頼するのも一つの方法だと思います。

 

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