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離婚・男女問題

【離婚】離婚調停に関する疑問~調停委員/調停委員会/評議って何?~

2021.05.17

1.離婚調停の登場人物

離婚調停を行う場合、裁判所で話合いを進めていくことになりますが、当事者(夫及び妻)を抜きにして話し合いを進めることはできませんので、離婚調停の主役は当事者ということになります。

 

そして、当事者に代わって法的な主張・反論を行ったり、戦略を練ったり、合意案を考えたりするのが弁護士です。

 

さらに、両当事者の間に入って話を進めてくれる役割をするのが調停委員です。

 

その他にも、状況によっては、家裁調査官や裁判官、裁判所書記官などが登場する局面もありますが、主な登場人物は①当事者、②弁護士、③調停委員の三者と考えていただいてよいと思います。

 

そして、この三者のうち、裁判所側の人物は調停委員だけです。

 

今回はこの調停委員がどういう立場の人なのか、どういう役割を果たすのかなどについて説明したいと思います。

 

ちなみに、ネット上では「調停員」という表現が見られますが、「調停委員」が正確な表現ですので、ご注意ください。

 

 

2.調停委員の立場・役割

民事調停委員及び家事調停委員規則には次のように規定されています。

 

第一条 民事調停委員及び家事調停委員は、弁護士となる資格を有する者、民事若しくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満のものの中から、最高裁判所が任命する。ただし、特に必要がある場合においては、年齢四十年以上七十年未満の者であることを要しない。

 

 

すなわち、調停委員は、原則として40歳以上70歳未満の人格識見の高い人物が選任されるということになります。

 

さらに、同規則には次のような規定があります。

 

第三条 民事調停委員及び家事調停委員の任期は、二年とする。

 

調停委員の任期は2年とされていますが、再任も可能ですので、実際は何年も調停委員をされているベテランの方もおられます。

 

調停委員は弁護士がなるものという誤解をしておられる方がおられますが、そのような決まりはありません。

 

上記のとおり、

①弁護士となる資格を有する者

②民事若しくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者

③社会生活の上で豊富な知識経験を有する者

と規定されていますので、弁護士でなくとも知識経験のある方であれば調停委員になることができます。

 

実際、離婚調停の調停委員は弁護士以外の方が多いように思います。

 

弁護士以外の方が調停委員になっているということもあり、調停委員の中には法的知識が乏しいのではないかと思わざるを得ない方もおられるのが実情です。

 

離婚調停の場合、原則として男性と女性の調停委員が各1名ずつ選任されることになります。

 

調停委員に求められる役割としては、当事者あるいは代理人弁護士から事実関係や主張を聞きとって、公平・中立な立場で話し合いの進行を行うという点にあるといえます。

 

 

3.調停委員会とは何なのか?

ややこしいのですが、「調停委員」という言葉と「調停委員会」という言葉があります。

 

ここで、家事事件手続法という法律を見てみましょう。

 

第二百四十八条 調停委員会は、裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。

2 調停委員会を組織する家事調停委員は、家庭裁判所が各事件について指定する。

3 調停委員会の決議は、過半数の意見による。可否同数の場合には、裁判官の決するところによる。

4 調停委員会の評議は、秘密とする。

 

一つの事件に対して、調停委員だけでなく、裁判官も担当しているのですが、調停委員と裁判官をあわせた組織のことを調停委員会といいます。

 

つまり、調停委員会=担当する調停委員+担当する裁判官

と理解していただければと思います。

 

 

4.評議とは何か?

上で挙げた家事事件手続法248条4項に「評議」という言葉があります。

 

この評議とは何なのかというと、裁判官と調停委員が事件の進行や処理等について、意見交換や相談をすることを意味します。

 

評議は、①調停開始前に行われることもあれば、②調停の途中で行われることもあり、さらには③調停が終わった後に行われることもあります。

 

これらはそれぞれ①事前評議、②中間評議、③事後評議と呼ばれています。

 

調停の途中で、調停委員から「中間評議に行ってきますので、少々お待ちください」などという発言があれば、裁判官に事件の進行等について相談に行っているんだなと理解していただいたらいいかと思います。

 

 

5.裁判官が調停に登場することはあるか?

このように評議という形で、調停委員会(裁判官+調停委員)が当該事件の検討を行うのですが、裁判官が調停の現場に登場することはほとんどありません。

 

裁判官の意見が出される場合でも、裁判官が当事者に直接話をしに来てくれるということは稀で、調停委員を介して各当事者の耳に届くということが大半です。

 

ただし、当事務所の経験上、裁判官が直接話をしに来てくれるということもありますので、このあたりは事案の内容や裁判官のスタンス次第かもしれません。

 

では、最後まで担当裁判官の顔を見ることもなく終わるのかというと、そういうわけではなく、離婚が成立する場面では裁判官が調書を読み上げますので、この場面で担当裁判官と顔を合わせることになります。

 

ということで、裁判官が調停の現場に登場するのは最後の最後の場面だけということもよくあるということです。

 

 

今回は調停委員のこと等について説明を行いましたが、今後も離婚調停に関する事柄について解説をしていきたいと思います。

 

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