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離婚・男女問題

【離婚】調停前置主義って何?原則と例外

2021.05.26

1.はじめに~調停前置主義とは~

離婚の相談を受けていると、「どうせ話し合いをしても折り合いがつくとは思えないので、いきなり訴訟から始めることはできないんですか?」というご質問を受けることがあります。

 

では、いきなり訴訟から始めるなんていることができるのでしょうか?

 

 

ここで家事事件手続法という法律を見てみましょう。

 

(調停前置主義)

第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない

2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。

3 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。

 

家事事件手続法257条1項にあるように、離婚訴訟などの人事訴訟を提起する際にはまず調停を申し立てなければならないという決まりがあります。

 

これを「調停前置主義」といいます。

 

したがって、「いきなり訴訟から始めることはできないんですか?」という先ほどのご質問に対しては「基本的にはできない」という回答になります。

 

ただし後述のとおり、一応の例外がありますので、「いかなる場合でも調停をしなければならない」というわけではありません。

 

 

2.調停前置主義の対象となる事件

➢離婚事件、離縁事件、婚姻無効事件、婚姻取消事件、離縁無効事件、離縁取消事件、嫡出否認事件、認知事件など

 

 

3.なぜ調停をしなければならないのか?

なぜ「調停前置主義」というルールがあるのでしょうか。

 

その理由は、家庭に関する紛争をいきなり訴訟手続によって公開の法廷で争わせるのは望ましくないので、できるだけ当事者間が譲り合って自主的に解決するのがいいという点にあるといわれています。

 

離婚などの家庭の問題はできるだけ話合いで解決するのが望ましいということですね。

 

 

4.調停をせずにいきなり訴訟を提起したらどうなるか?

では、調停前置主義を無視していきなり訴訟提起したらどうなるのでしょうか。

 

先ほど挙げた家事事件手続法257条2項を見てみましょう。

 

前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。

 

要するに、調停前置主義を無視していきなり訴訟提起しても結局裁判所によって調停からスタートさせられるということになります。

 

ちなみに、調停をせずに訴訟提起すると不適法な訴えとしてその訴えが直ちに却下されると誤解している弁護士もいるようですが、別に調停をせずに訴訟提起をしたとしても不適法却下になるわけではありません。

 

あくまで、いきなり訴訟するのではなく調停からやってねという形で調停に付されてしまうというだけですので、誤解のないようにしたいところです。

 

 

5.例外的に調停をせずに訴訟提起できる場合

このような調停前置主義というルールがありますが、絶対に調停を経なければならないかというと、ごくごく例外的な場合には調停に付されることなく訴訟からスタートさせることができる可能性があります。

 

先ほどから出ている家事事件手続法257条2項ただし書に「ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。」とあるのが、その根拠となります。

 

では具体的にどういう場合が「調停に付することが相当でない」となるのかというと、たとえば、相手方となるべき者が所在不明である、刑事収容施設に長期間収容されている、強度の精神障害があって合意することができないなどがその一例とされています。

 

実際、当事務所の取り扱った事件の中にも離婚調停を経ることなく離婚訴訟から開始したところ、調停に付されることなく訴訟からスタートしたというケースもございます。

 

あくまでごくごく例外的な場合ですが、調停前置主義には例外があるということを知っておいていただければと思います。

 

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