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相続

【大阪の相続弁護士が教える】療養看護型の寄与分における介護報酬額の計算方法

2022.08.16

1.はじめに

療養看護行為を行った場合の寄与分の計算方法について、文献等にあまり詳しく載っておらず、どのように主張すればいいのか分からないという方がおられるかもしれません。

 

 

今回は、実務的によく参照される文献と思われる『家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』(日本加除出版)を紐解きながら、具体的な計算方法について検討してみたいと思います。

 

 

今回の記事は、主に弁護士などの専門家向けの説明となっていますので、基本事項の説明は省略させていただきます。

 

 

2.身体介護報酬基準額の計算方法

前述した『家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』(日本加除出版)の第4版・341頁には次のような記載があります。

 

介護保険制度の施行後(平成12年4月以降)は、介護保険における「介護報酬基準」が用いられることが多くなっている。同基準は、介護に要する時間に基づき介護種別(要支援・要介護)を7段階に区分し、それぞれの区分に応じた介護サービスのための報酬額を明示している。

実務においては、要介護者の受けた介護サービスの内容、居住地(級地)等を考慮して介護報酬を算定したものを参考に療養看護の寄与分を算定している。

 

そのうえで、次のような表が掲載されています。

 

介護報酬基準額に基づく身体介護報酬額(2021年 1級地(東京23区)の場合)

介護種別

介護状況

要介護認定基準時間

身体介護報酬基準額

裁量割合

 

 

なし

0.8

0.7

0.6

0.5

要介護2

中等度の介護を要する

50分以上70分未満

6,578

5,262

4,604

3,947

3,289

要介護3

重度の介護を要する

70分以上90分未満

6,578

5,262

4,604

3,947

3,289

要介護4

最重度の介護を要する

90分以上110分未満

7,524

6,019

5,267

4,514

3,762

要介護5

過酷な介護を要する

110分以上

8,470

6,776

5,929

5,082

4,235

(注)上表は、訪問介護の場合における介護報酬基準額に基づき、介護報酬単位表と要介護基準時間表を用いてそれぞれの要介護度ごとに療養看護報酬額(日当)を試算したものであるが、要介護度に対応した要介護認定等基準時間には幅があるので、具体的評価の場面では個別に検討する必要がある。

 

 

上記の注釈を見る限り、上記の表は、国などが定めた所与のものではなく、著者が計算した結果を記載したものであることがわかります。

 

ただ、この表に記載されている金額が一体どのようにして計算されているのかが、注釈を何度読んでも今一つよく分かりません・・・。

 

そこで、以下では、その計算過程を探ってみることにします。

 

①訪問介護の介護報酬基準額

厚労省が公表している令和元年度介護報酬は、このサイトから見ることができます。

 

抜粋すると、訪問介護費は、身体介護が中心である場合には、

⑴ 所要時間20分未満の場合は166単位

⑵ 所要時間20分以上30分未満の場合は249単位

⑶ 所要時間30分以上1時間未満の場合は395単位

⑷ 所要時間1時間以上の場合、577単位に所要時間1時間から計算して所要時間30分を増すごとに83単位を加算した単位数となっています。

 

そして、1単位の単価は基本10円です。

 

このことを踏まえて、要介護2~要介護5の各要介護認定基準時間に対応させると次のとおりとなります。

 

・要介護2:577単位(5,770円)

・要介護3:577単位(5,770円)

・要介護4:660単位(6,600円)

・要介護5:743単位(7,430円)

 

しかし、これでは上記の表の裁量割合なしの金額と一致しません。

 

②1単位の単価の修正

先ほど1単位の単価は基本10円と書きましたが、サービスごと、地域ごとに1単位の単価が設定されており、サービスや地域によって微妙に金額が修正されています。

 

こちらのサイトを見てみてください。

 

訪問介護の人件費割合は70%で、先ほどの表は1級地(東京23区)の場合を例にしていますから、上乗せ割合は20%となり、結局1単位の単価は11.4円となります。

 

この単価を前提に、要介護2~要介護5の各単位にかけ合わせてみると、次のような金額が出てきます(小数点以下は四捨五入)。

 

・要介護2:577単位(6,578円)

・要介護3:577単位(6,578円)

・要介護4:660単位(7,524円)

・要介護5:743単位(8,470円)

 

これでようやく金額が一致することができました。

 

ということで、おそらく、『家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』は上記のような計算過程で表を作成したものと思われます。

 

地域ごとの上乗せ割合についても、先ほど挙げたサイトに載っていますので、そちらをご参照いただければ、各地域に応じた金額を出すことも可能となります。

 

ちなみに、この記事では、上記文献の計算過程を探るべく令和元年度介護報酬を基準に計算しましたが、令和3年度に単位が改定されていますので、上記文献の版が改定される際には記載される金額が変わっているかもしれません。

 

 

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