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今回は離婚と相続が絡み合うテーマを取り扱ってみたいと思います。
熟年離婚が増えていると言われていますが、配偶者の死亡と離婚の問題というのは意外と身近なテーマだと思います。
一つ具体例を挙げてみましょう。
夫Aと妻Bの夫婦がいました。
この夫婦は数年前から家庭内別居状態で、互いに離婚を考えていたところ、子Cが社会人になったことを機に、離婚しようということになりました。
妻Bには特に財産はなく、一方で夫Aには財産が2000万円ありました。
そのため、妻Bは夫Aに対して財産分与として1000万円の請求をしようと考え、夫Aにもその旨伝えていました。
そのような矢先、妻Bが亡くなりました。
さて、妻Bが有していたはずの1000万円相当の財産分与請求権は子Cが相続することになるのでしょうか?
上記のケース様に、離婚前に一方配偶者が死亡した場合、財産分与請求権が相続されることはありません。
つまり、子Cは、妻Bの夫Aに対する財産分与請求権を相続することはできないということになります。
したがって、夫Aは子Cに対して一切お金をわたす必要はありません。
財産分与請求権という権利は離婚することによってはじめて発生する権利であるため、いまだ離婚していない以上、生前にいくら離婚を前提に財産分与を求めていたとしても、離婚前に死亡した場合には相続の対象にはならないということです。
では、上記ケースとは少し事案を変えて、夫Aと妻Bが離婚した後に妻Bが死亡した場合であればどうでしょうか。
この問題については、最高裁判例はありませんが、下級審レベルでは裁判例が存在しています。
【名古屋高裁昭和27年7月3日決定】
当事者の一方が既に相手方に対し財産の分与を請求する意思を表示し又は之を求むる為家事調停或は審判の申立を為して分与請求の意思を表示したが未だ調停又は協議が成立せず若しくは協議に代る裁判所の処分を得ないうちに死亡した場合に於て財産分与請求権が相続され得るか否かに付て按ずるに法が財産分与の制度を設けたのは単に配偶者の扶養の手段を与えようとする理由だけからではなく配偶者に相続権を認めたのに対応し離婚の当事者間の公平なる財産分配の意図も亦之を包蔵するものなることは民法第七百六十八条第三項が当事者双方が其の協力によつて得た財産の額を考慮すべき一切の事情の一として之を掲げているに徴しても明かであつて仮令未だ具体的な債権取得に至らずとするも既に分与請求の意思が表示された後の財産分与請求権は調停又は協議の成立若くは協議に代る裁判所の処分を経て一定の金銭又は財物の給付請求権の取得に至るべきものであるから其の性質は普通の財産権と化しているのであつて一般の金銭債権と同様相続され得べき権利であると解するのを相当とする。
➢被相続人が生前に財産分与の意思表示をしていれば、財産分与請求権が相続の対象となると判断しました。
【大分地裁昭和62年7月14日判決】
所謂清算的財産分与義務に関しては、それが財産的請求権であることに鑑みると、その相続を否定する理由はない(民法八九六条参照)。
➢この裁判例も財産分与請求権が相続の対象となると判断しました。さらに、この事案は被相続人が生前に財産分与についての特段の意思表示をしていませんでしたが、相続の対象となると判断しています。つまり、生前の財産分与請求の意思表示がなくとも相続の対象となるとの判断と解されます。
以上のように、名古屋高裁と大分地裁の二つの裁判例において、生前の意思表示の有無が要件になるかどうかという点は異なるものの、離婚後に死亡したケースでは基本的に財産分与請求権が相続の対象となるとの判断がなされています。
夫Aと妻Bが離婚した後に、妻Bが死亡した場合には、子Cは妻Bの有していた財産分与請求権を相続することができるということになります。
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