ブログ
離婚・男女問題
【離婚】離婚後の戸籍や苗字はどうなる?
1.はじめに
まず簡単に戸籍制度の説明をしておきたいと思います。
日本においては、一つの戸籍に在籍できるのは、①夫婦と②その夫婦と氏を同じくする子どもとされています(戸籍法6条本文)。
つまり、親、自分、子みたいな形で親子三世代が一つの戸籍に在籍することはできません。
まずはこの点を大前提として押さえておきましょう。
結婚をする際、夫婦は夫か妻かいずれかの氏を称することになります(民法750条)。
そして、婚姻届に夫か妻のどちらかの氏を記載して提出します(戸籍法74条1号)。
その結果、この夫婦のための一つの戸籍が作られることになります(戸籍法16条)。
さらに、この夫婦に子ども(嫡出子)ができると、その子は父母の氏を称して(民法790条1項本文)、親と同じ戸籍に入ります。
ここまでの話は、法律の存在や条文の内容は知らなくとも、多くの方が感覚的にわかることだと思います。
たとえば、佐藤さん(男性)と鈴木さん(女性)が結婚して、夫婦ともに佐藤姓になって、その後に生まれた子も佐藤姓になるという、いわば当たり前のことを法律の条文に基づいて説明をしたにすぎません。
本題はここからです。
2.離婚するとどうなるか?~原則~
上記のとおり、結婚するときには、夫か妻のいずれかの氏に決めて戸籍を編製することになるわけですが、いざ離婚するとなると結婚の際に氏を改めた者は、結婚中の戸籍から除かれることになります。
この戸籍の話をするときには、車に一緒に乗っているイメージを持つと分かりやすいかもしれません。
※ここでは夫が筆頭者となっているケースを想定して説明することにします。
夫婦と子どもが一緒の車に乗っていたところ、離婚すると、まず妻だけ車から降ろされてしまうというイメージですね。
車から降ろされてしまった人が次にどの車に乗ればいいのかというと、①結婚前に乗っていた車に乗るか(結婚前の戸籍に入りなおすか)、②新しい車に乗るか(新戸籍を編製するか)の二択ということになります。
この点、原則は、結婚前の戸籍に入りなおすことになります(戸籍法19条1項本文)。
また、苗字については、結婚前の氏に戻ります(民法767条1項)。
先ほどの例で言うと、離婚に伴って、妻の氏は旧姓の鈴木に戻って、妻は結婚前の戸籍に入りなおすというのが原則的な取扱いということですね。
3.新戸籍が編製される場合
離婚した際には、結婚前の戸籍に入り直すのが原則と書きましたが、新たな戸籍を編製するということもよくあり、希望さえすれば新戸籍を編製してもらうことができます(戸籍法19条1項ただし書)。
たとえば、先ほどの例で、夫婦に子どもがいて、離婚の際に妻がその子の親権者になったとします。
この場合、妻が結婚前の戸籍、たとえば自分の両親の戸籍に入り直したうえで、さらに子どももその戸籍に入れたいと考えたとします。
しかし、冒頭で説明したとおり、三世代にわたる戸籍はできませんので、子どもを自分の戸籍に入れようと思うと、新たな戸籍を作る必要があるということになります。
車のイメージで言うと、離婚すると妻だけ車から降ろされてしまうけど、両親・自分(妻)・子どもが一緒の車には乗れないので、子どもを一緒の車に乗せるためには、新しい車でないとダメということですね。
そのため、子どもを自分の戸籍に入れようとするのであれば、新戸籍を編製し、その戸籍に子どもを入れるという形になります。
また、戻るべき戸籍がないような場合も新戸籍が編製されることになります。
たとえば、先ほどの例でいうと、妻の両親がいずれも死亡していて除籍になっているような場合です。
このような場合には、妻が結婚前の戸籍に戻ろうと思っても、戻るべき戸籍がないということになり、新たな戸籍を編製するほかないということです。
このように、離婚する際に、結婚前の戸籍に戻るのではなく、新戸籍を編製することもよくあるというわけです。
4.結婚時の氏を名乗り続ける場合
結婚の際に氏を変更した者は、離婚することで旧姓に戻ると説明しました。
もっとも、離婚後も婚姻中の氏を使用し続けたいという場合には、離婚の日から3か月以内に婚氏続称の届出をすることによって、結婚していたときの氏を名乗り続けることができます(民法767条2項、戸籍法77条の2)。
先ほどのケースでいうと、旧姓が鈴木であった妻は離婚後3か月以内に婚氏続称の届出をすれば、離婚後も佐藤姓を名乗り続けることができるということです。
婚氏続称の届出の手続をどこで行うのかというと、届出人の本籍地、または所在地の役所で手続をすることになります。
結婚時の氏を使用したい場合には、離婚後3か月以内に婚氏続称の届出をしなければなりませんので、お忘れないようにご注意ください。
また、この場合、離婚届と同時に婚氏続称の届出を役所に出すことができますので、同時に出してもいいと思います。
☆離婚、親権、養育費・婚姻費用、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などでお悩みの方は離婚問題に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人千里みなみ法律事務所では離婚問題に力を入れて取り組んでおり、離婚分野は当事務所の得意とする分野の一つです。
多数の解決実績やノウハウを生かして適切なアドバイスを行いますので、お気軽にお問い合わせください。
離婚に関するご相談は初回30分無料で受け付けております。
お問い合わせフォームまたはお電話よりご予約いただきますようお願いいたします。