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相続
【相続】使途不明金問題の解決方法~被相続人死亡前の引き出しのケース~
1.はじめに
被相続人が死亡したことをきっかけに、相続人の1人が遺産である預金の残高を確認したところ、死亡の直前に一気に残高が減っていてびっくりしたなんていうことはよくある話です。
このことを知った相続人が「他の相続人が取ったはずだ」と考えることがあります。
このような問題のことを一般に「使途不明金の問題」などといいます。
実務においてはよく問題になる事柄の一つです。
では、この使途不明金の問題はどのようにして解決すればよいのでしょうか。
ここでは被相続人が死亡する前に使途不明の金銭が引き出されているケースについて解説したいと思います。
2. 使途不明金を特定できるかどうか?
ある相続人が、「亡くなった父にはもっと財産があるはずだ!」と主張したとします。
しかし、通帳をいくら見ても使途不明な出金の形跡などがなく、かつ他の相続人も遺産が思ったよりも減っていることについて全く心当たりがないと言っているような場合、この使途不明金問題を遺産分割協議で取り上げることはできません。
これは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てても同じです。
家庭裁判所が積極的に遺産を探す手伝いをしてくれるわけではありません。
どうしてもこの使途不明金の問題について追及したいということであれば、訴訟を検討するほかありません。
では、使途不明金が特定できている場合はどうでしょうか?
具体的に被相続人の亡くなる半年前からまとまったお金が引き出されているなどの形跡があり、そのお金を誰が引き出したのかについて当事者間に争いがないような場合、一応この問題を協議や調停で取り上げることができます。
「一応」と書いたのはなぜかというと、使途不明金の問題は、本来は訴訟で解決すべき問題だからです。
調停や任意の協議で使途不明金の問題を取り上げた結果、実際に特定の相続人が自分が引き出して自分のために使ったことを素直に認めたり、自分が引き出したけれども被相続人のために使ったとの説明を行い他の相続人もそれに納得したような場合には話し合いによる解決ができる可能性があります。
他方で、協議や調停を重ねたけれども、使途不明金の説明がされないとか、説明がされたとしても他の相続人が納得できないということになれば、話し合いでの解決は不可能ということになります。
そうなれば、訴訟での解決を図るほかないということになります。
3.まとめ
以上のとおり、原則として使途不明金の問題は訴訟によって解決すべき問題とされています。
もっとも、使途不明金が具体的に特定されており、話し合いによって解決の余地があるような場合には協議や調停による話合いの土俵に載せることができるということになります。
そして、話し合いをした結果、やはり使途不明金についての協議が整わない場合には訴訟での解決を検討するという流れになります。
ちなみに、ここでいう訴訟は「地方裁判所」で行う訴訟のことを指します。
遺産分割調停は「家庭裁判所」で行いますので、この裁判所の管轄の違いを見ても、使途不明金の問題と遺産分割の問題が性質の異なるものだということがお分かりいただけるかと思います。
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