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離婚・男女問題

【離婚】別居中に扶養から外れる(外される)場合とは?

2021.08.04

1.はじめに

前回までの記事では、妻自ら働くようになって、別居中に夫の扶養から外れることになった場合を想定して説明してきました。

 

つまり、妻側から積極的に扶養から外れる場合の説明でした。

 

これに対して、一方的に扶養から外されてしまったあるいは扶養から外れざるを得ないというようなケースもないわけではありません。

 

そこで、今回はどのような場合に別居中に扶養から外れることになるのかということについて考えてみたいと思います。

 

 

2.別居中に扶養から外れるのはどのような場合?

これまで何度か書いていますが、離婚時に扶養から外れるというのが実務的には多いパターンだと思います。

 

これは、離婚することで被扶養者の資格を失うことが明確になる(健康保険法3条7項1号)という理由によるものではないかと考えられます。

 

つまり、離婚を前提に別居していたとしても、離婚するまでの間は扶養に入り続けているケースが多いということですね。

 

もっとも、別居中に扶養から外れるパターンもあるということは以前の記事で説明したとおりです。

 

これは主に妻が別居中に会社勤めをするようになって、自身の会社の健康保険に加入する場面を想定したものでした。

 

しかし、たとえ妻が無職であったとしても、扶養から外れることになるというケースもあります。

 

そもそも、被扶養者として認定されるには、主として被保険者の収入により生計を維持されていることが必要です。

 

そして、被保険者と同一世帯でない場合(別居している場合)の被扶養者の認定基準は以下のとおりです(厚生省通知昭52.4.6保発9号)。

 

2 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合

認定対象者の年間収入が、一三〇万円未満(認定対象者が六〇歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては一八〇万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助に依る収入額より少ない場合には、原則として被扶養者に該当するものとすること。

 

すなわち、年間収入が130万円未満で、かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、別居中であっても被扶養者の資格があるということになります。

 

反対に言うと、別居中の妻が無職の場合などで年間収入が130万円未満であっても被保険者(夫)からの援助(婚姻費用等の支払)がない、あるいは援助があったとしても妻の年間収入の方が援助額よりも多いというようなケースでは、妻には被扶養者の資格がなくなるということになると考えられます。

 

たとえば、妻が有責配偶者のケースであれば、妻自身の分の婚姻費用(生活費)の請求は通常認められませんので、夫婦間に未成熟の子どもがいないような場合には、被保険者からの援助(婚姻費用等の支払)が全くないということも十分考えられます。

 

このような事情によって、被扶養者の資格要件を満たさないという場合には、別居中で離婚する前であっても扶養から外れるということがありえます。

 

なお、国保組合のように扶養認定という概念のない組合の場合には、別世帯(別居)になった時点で、家族被保険者ではなくなるという取り扱いとなることもあるようですし、組合よっては別居したという事実によって扶養から外れざるを得ないという場合もあるようです。

 

そのため、ご自身がどのような組合に加入していて、その組合の規定がどのようになっているのかという点は少なくとも確認しておいた方がよいと思います。

 

 

3.別居中に扶養から外れることになった場合どうするのか?

上記2で説明したような事情に該当して、別居中に扶養から外れなければならないということになった場合には、①国民健康保険に加入するか、②その時点で会社勤めをしているということで健康保険の加入資格があるのであれば、自身の勤める会社の健康保険組合に加入するという選択肢が考えられます。

 

少なくとも①の場合は資格喪失証明書を夫からもらう必要がありますが、その他に扶養から外れるにあたって必要な書類や細かい手続きは組合によって異なることもあるようですので、不明点等は、各組合に詳細を確認していただければと思います。

 

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