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離婚・男女問題

【離婚】離婚調停で離婚できる確率はどのくらい?

2021.05.21

1.はじめに

前回の記事で、調停の回数と期間について説明しました。

 

この際、調停が成立した場合に絞って検討することにしました。

 

では、そもそも申し立てられた離婚調停のうちどのぐらいの割合で離婚が成立しているのでしょうか?

 

今回は令和元年度の司法統計から、この疑問を解き明かしてみたいと思います。

 

 

2.離婚調停の申立て件数

➢38,501件

 

 

3.調停が成立した件数とその内訳

➢20,134件

 

調停離婚 18,669
協議離婚届出 192
婚姻継続(別居) 968
婚姻継続(同居) 305
合計 20,134

 

「調停離婚」というのは、調停で離婚が成立したということです。

 

離婚調停における離婚の方法としてはこの方法によるのが通常です。

 

「協議離婚届出」というのは、離婚調停の中で「協議離婚する」ということを内容とする合意(調停)が成立した場合を指します。

 

戸籍に「調停」と記載されるのがどうしても嫌とか離婚する日付を自分で決めたいなどの理由から、このような方法が取られるのだろうと考えられます。

 

ただし、件数がわずか192件ということからしても、このような方法が取られることは非常に稀であることが分かります。

 

「婚姻継続(別居)(同居)」というのは、「離婚はせずに別居を続ける」とか「離婚せずに同居を続ける」というような合意をする場合を指します。

 

これは調停をしたものの結局離婚には至らなかったパターンといえます。

 

 

4.調停不成立の件数

➢9,688件

 

これは話し合いが物別れに終わり、離婚には至らなかった場合です。

 

一方当事者が離婚することを拒否したとか、離婚条件で折り合いがつかなかったというような場合が一般的です。

 

 

5.調停に代わる審判の件数

1,536件

 

調停に代わる審判という制度の詳細については、また改めて説明したいと思いますが、簡単に言うと当事者が調停に出席できないような場合にとられる手続です。

 

「実質的には調停又はその延長のものと考えてよい」とも言われています(秋武憲一『離婚調停〔第4版〕』70頁)。

 

これも最終的には離婚が成立したケースと考えられます。

 

 

6.離婚調停取下げの件数と内訳

➢6,729件

 

協議離婚成立 1,651
円満同居 398
金員の支払等の協議成立 83
話し合いがつかない 883
その他・不詳 3,714
合計 6,729

 

取下げというと、離婚が成立しない場合かと思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。

 

調停をやっている間に協議離婚が成立したため、調停をする必要がなくなって取り下げるということもあります。

 

この場合が上記の表でいう「協議離婚成立」というものですね。

 

上記3で出てきた調停成立の場合における「協議離婚届出」との違いは、①協議離婚成立→調停取下げという時系列をたどるのか、②協議離婚することを内容とする調停を成立させる→離婚届提出=協議離婚成立という時系列をたどるのかということだと考えていただいたら良いかと思います。

 

「円満同居」は調停をやっている間に円満な関係に戻ったため調停を取り下げたということでしょう。

 

「金員の支払等の協議成立」というのは、これだけではいまひとつ事情がよくわかりませんが、金銭的な問題などが解決したために離婚調停を取り下げたのではないかと推測されます。

 

これは離婚が成立していないものと分類することにします。

 

「話し合いがつかない」というのは、調停をやったものの合意に至りそうにないということで取り下げたということだろうと推測されます。

 

 

7.当然終了の件数

➢76件

 

「当然終了」というのは、調停中に当事者の一方が死亡したケースです。

 

 

8.調停をしない措置の件数

➢337件

 

「調停をしない措置」というのは件数をみてもわかるとおり、非常に珍しいケースです。

 

どういう場合に調停をしない措置になるかというと、「求めている調停の内容自体が法律や社会正義に反する場合、たとえば、不貞関係を継続することや認知しないことを条件に一定の金銭の支払をするなど」や「当事者双方が無断で調停期日に欠席を繰り返すなど、不当な目的で調停の申立てをしたり、調停制度の趣旨に沿った利用をする意思がないことが明らかであると認められるとき」に調停をしない措置により事件を終了させることがあるとされています(秋武憲一『離婚調停〔第4版〕』93頁)。

 

この場合は、言うまでもなく離婚は成立しないということになります。

 

 

9.却下の件数

➢1件

 

この1件はどういう事情があったのかは分かりませんが、却下されているということですので、離婚が成立していないことは明らかです。

 

 

10.では離婚に至る確率は?

以上をまとめると、離婚調停を申し立てた結果、調停の手続を一応利用する形で離婚に至るのは次のような場合といえます。

 

調停離婚 18,669
協議離婚するとの調停 192
調停に代わる審判 1,536
協議離婚成立(調停取下げ) 1,651
合計 22,048

 

離婚調停の申立て件数が38,501件ですので、離婚調停をした結果、離婚に至る割合(離婚調停申立件数に占める離婚件数の割合)は、57.2%ということになります。

 

そのため、約4割は離婚調停を経ても話し合いがまとまらなかったり、あるいは離婚調停の結果夫婦仲が戻ったりしているということですね。

 

そして、調停が不成立になった後、それでもなお離婚したいという場合には離婚訴訟を検討することになります。

 

 

11.千里みなみ法律事務所の実績

当事務所が関与した離婚調停事件の統計をとったところ、離婚調停申立件数に占める離婚件数の割合は

81.1%でした。

 

全国的な平均値を上回る数値が出ている理由として考えられるのは、①離婚したいというお気持ちが強い方ほど弁護士に依頼される傾向があるため、調停を取り下げることが少ないこと(相手方の意向にかかわらず離婚の意思を翻意しにくいこと)、②離婚事件の経験豊富な弁護士が介入することによって、話し合いが円滑に進み合意に至りやすいことなどがあるのではないでしょうか。

 

①に関して言うと、弁護士が代理人として離婚調停の申し立てを行っているケースに限定すると、取下げの割合は非常に少ないと思います。

 

実際、常時多数の離婚事件を取り扱っている当事務所でも離婚調停の途中で、離婚意思に変化が生じるなどの理由で申立てを取り下げるということは数年に1件あるかどうかという割合です。

 

②に関して言うと、双方ともに弁護士を付けずに調停を進めていると、どうしても感情のぶつけ合いや、法的に無理な主張に終始して調停委員がお手上げ状態になって早々に不成立になってしまうということもあります。

 

そして、離婚訴訟になって双方に弁護士が付いた途端にすぐに和解離婚が成立するということも少なくありません。

 

結果的には調停の段階で弁護士を付けていれば、訴訟になるまでいがみ合うこともなく、もっと早期に解決ができていたのではないかと思うケースもございます。

 

なるべく早いタイミングで離婚事件の経験が豊富な弁護士にご相談だけでもされることをお勧めします。

 

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