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離婚・男女問題
【離婚】年金分割をしたらどれだけ得するのかを調べる方法
1.はじめに
以前の記事で、年金分割は婚姻期間中の標準報酬総額の格差をなくす制度であるということを説明いたしました。
そうだとすると、年金分割を請求したら自分はいくら得するのか、反対に年金分割を請求されたらいくら損するのかということを知りたいと思うのが普通だと思います。
そこで、今回は年金分割をした結果どうなるのかというテーマで説明をしてみようと思います。
2.年金分割のための情報通知書をとってみる
まず、年金事務所に行って「年金分割のための情報通知書」という書類をとってみましょう。
これは直ちに発行してもらえるものではなく、通常は取得できるまでに数週間かかりますので、その点は注意が必要です。
年金分割のための情報通知書を見ると何が分かるかというと、夫と妻それぞれの標準報酬総額が分かります。
つまり、標準報酬総額にどれだけの格差があるのかということが分かります。
互いの標準報酬総額を知るだけでも重要な手がかりになりますので、まずはこれをとってみていただければと思います。
3.受け取ることができる年金の見込額を知る方法
上記の年金分割のための情報通知書には、夫と妻のそれぞれの標準報酬総額が記載されていますが、年金分割をした時としなかった時とで実際に受け取る年金の額にどの程度の差が発生するのかということは載っていません。
年金分割を請求される方が気にされるのは、ぶっちゃけどれだけ受け取る額が増えるのかという点だと思います。
では、これを調べる方法はあるのでしょうか。
実は50歳以上の方に限られるのですが、年金事務所で、「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」という書類を取得することができます。
この書類があれば、按分割合50%で年金分割を行った場合と年金分割を行わなかった場合のそれぞれの年金額(見込額)を知ることができます。
50歳以上の方は年金分割のための情報通知書を取得するときにあわせてこの「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」という書類も取得しておかれるとよいと思います。
4.統計上の数値はどうなの?
ひとつの目安として統計上の数値を紹介しておきます。
厚生労働省の発行している「厚生年金保険・国民年金事業年報令和元年度版」を見ると次のような数値が出ています。
【第1号改定者】 | |||
平均年金月額(円) | |||
改定前 | 改定後 | 変動差 | |
H27年度 | 136,995 | 111,329 | -25,666 |
H28年度 | 140,123 | 109,620 | -30,503 |
H29年度 | 142,713 | 111,892 | -30,821 |
H30年度 | 143,208 | 112,272 | -30,937 |
R元年度 | 143,162 | 114,025 | -29,137 |
【第2号改定者】 | |||
平均年金月額(円) | |||
改定前 | 改定後 | 変動差 | |
H27年度 | 54,819 | 81,647 | 26,828 |
H28年度 | 48,546 | 80,513 | 31,967 |
H29年度 | 49,741 | 80,799 | 31,058 |
H30年度 | 51,436 | 82,701 | 31,265 |
R元年度 | 53,405 | 84,056 | 30,651 |
上記の表に出てくる「第1号改定者」というのは、標準報酬総額を渡す側の人(年金分割をされる側の人)で、「第2号改定者」というのは、標準報酬総額をもらう側の人(年金分割を受ける側の人)のことを指します。
多くのケースでは第1号改定者は夫、第2号改定者は妻ということになります。
※標準報酬総額などの言葉の意味がよく分からないという方はコチラの記事を読んでいただければと思います。
さて、上記の表に話を戻すと、年金分割をするかしないかによって、だいたい3万円くらい月額で受け取るべき年金額に差が出るという統計上の数値が出ているということがわかります。
老後に受け取ることができる年金の額が月額3万円変わるというのは結構大きな差だと思われる方が多いのではないでしょうか。
ただし、もちろんこれはあくまで統計上の数値ですので、参考程度にお考えいただければと思います。
ちなみに、3万円とは言わずとも、たとえ月額数千円あるいは数百円であっても受け取ることができる年金の額が増えるのであれば年金分割をしたいと思われる方も多数おられます。
年金分割をお考えの方は、離婚事件に強い弁護士に是非ご相談いただければと思います。
☆離婚、親権、養育費・婚姻費用、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などでお悩みの方は離婚問題に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
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