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相続

【大阪の相続弁護士が教える】遺産分割(相続)において、債務をどのようにして処理するか

2023.08.09

1.はじめに

被相続人に債務(借金)がある場合に、まず考えるのは相続放棄かもしれません。

 

しかし、被相続人が事業をしているようなケースでは、債務がある反面、プラスの財産もあることがあります。

 

たとえば、被相続人には2000万円の債務があるけれども、3000万円の財産があるというような場合には、通常は相続放棄をするという選択はとらないはずです。

 

今回は、このようなケースを想定して、遺産分割において債務をどのように処理すればいいのかという点について解説していくこととします。

 

相続人は、長男Aと二男Bの2名で、被相続人の生前の債務は2000万円、プラスの財産は3000万円、遺言はないというモデルケースを前提とします。

 

 

2.大原則

判例は、債務について次のように示しています。

 

債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきである

(最判昭和34・6・19民集13・6・757)

 

したがって、まず大原則として、債務は相続によって、各相続人の相続分に応じて承継されることになるため、遺産分割の対象とはなりません。

 

つまり、上記のケースであれば、2000万円の債務は、長男Aと二男Bに1000万円ずつ承継されるということになります。

 

その上で、プラスの財産3000万円をどのようにして分けるかということを協議するということになります。

 

 

3.債務を遺産分割協議の対象にすることができるか

上記のとおり、債務は遺産分割の対象となりません。

 

確かに、プラスの財産3000万円が預金であれば、長男Aと二男Bが1500万円ずつ取得して、そこから各自が承継した債務1000万円を返済してしまうという処理をするという処理が考えられます。

 

しかし、例えば3000万円の財産が不動産で、これを売ることも難しいというような事情があるケースであればどうでしょうか。

 

このような場合、長男Aと二男Bが話し合って、長男Aが単独で債務2000万円を引き継ぐ代わりに3000万円の不動産をもらうというような処理をすることも可能です(その上で、長男Aから二男Bに500万円を渡せば、公平な解決となります)。

 

ただ、注意が必要です。

 

長男Aが債務を単独で債務を承継するというのはあくまで、当事者間の話し合いの結果にすぎませんから、債権者に対しては、この話合いの効力を及ぼすことができません。

 

つまり、債権者が、上記2に記載した判例の考え方に基づいて、長男Aと二男Bに対してそれぞれ1000万円を請求した場合に、二男Bが債権者に対して「この債務は全部、長男Aが引き継ぐことになったので、Aに請求してください」と言っても、債権者は「そんな当事者間の話し合いなんて知ったこっちゃない」と言えるということです。

 

その結果、問答無用で、債権者から二男Bに対する請求が認められるということになります。

 

したがって、このような処理をする場合には、遺産分割協議を成立させる前に、金融機関などの債権者と交渉をして、長男Aが単独で債務を相続して、二男Bに対する債務は免責してもらうこと(免責的債務引受)ができるかを確認しておく方がよいといえます。

 

 

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