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離婚・男女問題
【離婚】離婚調停のメリット・デメリット
1.離婚調停の概要
離婚などの家族間のもめ事は、その背後に感情的な対立があることがかなり多いという側面があります。
このような点は、単純な金銭の貸し借りなどの問題とは大きく異なるところです。
そのため、離婚などの家族間の問題においては、当事者間の感情対立をできる限り解きほぐしたうえで、柔軟な解決を図ることが適しているといえます。
たとえば、離婚後の非監護親と子どもの面会交流をどのような形で行っていくのかという問題については、裁判所が一方的に結論を出すよりは、両当事者の予定や意向、子どもの意向などを考慮して話合いによって解決する方が望ましいということはご理解いただけるかと思います。
ほかには、たとえば離婚にあたって夫婦のどちらが自宅を取得し、どちらが住み続けるのか、あるいは売却するのかというような問題も話し合いが適しているといえると思います。
そこで、離婚などの家族間のもめ事については、家庭裁判所で話し合いを行うために家事調停という制度が設けられています。
その典型例が離婚調停です。
離婚調停は家庭裁判所の中で、調停委員を介して夫婦間の離婚についての話し合いをしていくという制度のことをいいます。
この制度は裁判所が介入することで、紛争の自主的な解決を図っていくことを目的としています。
2.離婚調停のメリット
①第三者をまじえることで冷静な話し合いがしやすくなる
当事者だけあるいは当事者の親などを交えて離婚の話し合いをするというケースがありますが、言い争いになって収拾がつかなくなったというようなことも少なくないようです。
このように、当事者だけで離婚の話し合いを行うとなかなか冷静に話しを進めることが難しい側面があります。
他方で、離婚調停であれば、調停委員という中立な第三者が介入することになり、基本的には当事者同士で顔を合わせて議論をするということはありませんので、冷静に話し合いを進めることが可能になります。
②当事者間の直接のやり取りに比べて精神的負担が小さい
配偶者の顔を見るだけで精神的に負担になったり、同じ空間にいるだけでしんどくなるという方は少なくありません。
調停の場合、当事者同士が顔を合わせるということは基本的にはありません。
また、調停委員を介してやり取りをしますので、当事者間で直接議論をするということもありません。
そのため、当事者で顔を突き合わせて議論をする場合に比べると大幅に精神的負担は軽減されるといえます。
③納得感が得やすい
調停の場合、裁判所が関与することで一定の公平性が担保されているといえます。
たとえば、養育費の金額について当事者間で合意が難しいような場合には、裁判所(調停委員会)から双方の年収や子どもの年齢・人数などの諸々の事情を踏まえて、一定の金額の提示がされることがあります。
このように、裁判所が関与してくれることで両当事者ともに「裁判所からの提案であれば」という形で納得しやすいという側面があります。
これは公平中立な裁判所が介在するからこそのメリットといえるでしょう。
④柔軟な解決が図りやすい
離婚調停においては、親権、養育費・婚姻費用、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など多岐にわたる話し合いを行うことがあります。
そして、これらの複数の論点について双方に言い分があるのが通常です。
調停の場合、話し合いによってすべての論点について解決を目指すのが通常ですので、「この点をそちらが譲歩するなら、こちらはここを譲歩する」などというような形で柔軟な解決を図ることが可能となります。
これが訴訟に至って判決となった場合には、裁判所が判断を下しますので、柔軟な解決ということは難しくなってしまいます。
⑤一定の間隔で話し合いの場が設けられる
当事者間で協議を進める場合、話し合いが平行線をたどって一向に前に進まないということがあります。
また、次にいつ話し合いを行うのかということが決められないまま時間が経過してしまうということもあります。
これに対して、調停の場合は1~2か月に1回程度の頻度で調停が行われますので、いわば自動的に話し合いの機会が設けられるということになります。
そして、期日と期日の間には自分の主張や考えを整理したり、相手方や裁判所の提案を検討したりすることができますので、次の期日においても実のある議論ができるようになります。
このように、自動的に一定の間隔で話し合いの場(調停期日)が設定されるというのは調停の大きなメリットといえます。
⑥強制執行が可能な書面を残すことができる
離婚にあたって養育費などの支払を取り決めた場合であっても、後々になって支払いが滞ったり完全にストップしてしまったりすることがあります。
この点、協議離婚の場合、公正証書を作成していない限りは、いきなり差し押さえなどの強制執行手続を行うことはできません。
他方で、調停の場合、合意する際に調停調書という書面を作成することになりますが、これがあれば金銭の不払いなどがあった場合に強制執行手続をとることが可能となります。
つまり、調停を利用することでより効力の強い書面を残すことができるといえます。
3.離婚調停のデメリット
①時間がかかる可能性がある
上記のとおり、調停は1~2か月に1回程度の頻度で行われ、1回で調停が成立することは稀ですので、解決までに数か月~1年程度の時間を要することがあります。
しかし、双方に弁護士がつけば調停をペースメーカーにしつつ期日間に話し合いを行うこともあり、早期解決を図ることができるケースもございます。
現に当事務所でもそのような形で早期に離婚成立に至ったケースが多々あります。
また、協議離婚の場合でも一概に早く解決するわけでもなく(むしろ中立的な第三者が介入しない分、話がこじれたり平行線になってしまったりすることもあります)、調停の方が余計に時間がかかるとまでは必ずしもいえない側面もあります。
②調停委員に当たり外れがある
残念ながら調停委員の中には法的知識が乏しいのではないかと思わざるを得ない方もおられます。
また、説得しやすい方を強引に説得して話をまとめようとする方もおられるようです。
このように、調停委員の当たりはずれによって結果を左右されないために離婚調停には、離婚事件の経験が豊富な弁護士を付けることをおすすめします。
③戸籍に「調停」という文言が記載される
調停離婚の場合、戸籍謄本には「調停」という文言が記載されることになります。
このような記載を気にされない場合には特にデメリットにはなりませんが、絶対に嫌だという場合は、協議離婚によるほかないということになります。
4.離婚調停をお考えの場合は経験豊富な法律事務所にご相談ください
離婚、親権、養育費・婚姻費用、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などでお悩みの方は離婚問題に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人千里みなみ法律事務所では離婚問題に力を入れて取り組んでおり、離婚分野は当事務所の最も得意とする分野の一つです。
多数の解決実績やノウハウを生かして適切なアドバイスを行いますので、お気軽にお問い合わせください。
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