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離婚・男女問題
【離婚】離婚調停はどこの裁判所で行うのか(管轄はどこ)?離婚訴訟との違い
1.管轄とは
まず具体例を挙げてみましょう。
夫Aと妻Bの夫婦は大阪市内に住んでいましたが、妻Bが家を出て別居が開始しました。
妻Bは現在、実家のある京都市内で暮らしています。
では、妻Bが離婚調停を申し立てるとして、大阪と京都のどちらの家庭裁判所で調停を行うことになるのでしょうか?
仮に調停が不成立になったとして、妻Bが離婚訴訟を提起することになった場合、調停の場合と何か違いはあるのでしょうか?
このように、その事件をどこの裁判所が担当するのかということを「管轄」と言います。
2.離婚調停の場合
家事事件手続法245条1項に次のような規定があります。
(管轄等)
第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。
つまり、調停事件の場合、①相手方の住所地を管轄する裁判所又は②当事者の合意で定める裁判所のいずれかで調停が行われるということです。
①又は②という並列的な書き方をしましたが、実務的には①のパターン(相手方の住所地を管轄する裁判所での調停)が圧倒的に多いと思います。
冒頭の例でいうと、京都市内に住むBが離婚調停を申し立てるのであれば、Aの住所地である大阪市を管轄する大阪家庭裁判所に調停を申し立てて、大阪家裁で調停が行われるということになります。
反対に、Aが離婚調停を申し立てるのであれば、京都家庭裁判所で離婚調停が行われるということになります。
このように、基本的には相手方の住所地を管轄する裁判所で調停をすることになりますが、まれに②のパターン(当事者が合意で定めた裁判所での調停)になることがあります。
確かに、これから離婚の話し合いをしようかという当事者間で、どこの裁判所で調停をするのかという事前の話し合いをするのが感情的に難しいという側面は多分にあるといえます。
しかし、管轄の点について当事者の利害が一致するような場合には合意管轄を取ることができる可能性があります。
たとえば、冒頭の例で言うと、Aは大阪市内に住んでいるものの京都市内で仕事をしているとか、Aが京都の弁護士に依頼しているから京都家裁で調停をした方が余分なコストがかかりにくかったりするなどの場合にはAとしても京都家裁で管轄の合意をした方が良いという判断になる可能性もあるわけです。
以上のとおり、離婚調停をする場合には、基本的には相手方の住所地を管轄する裁判所で行うことになるが、当事者間で合意ができるのであれば別の裁判所でもいいと考えていただければよいと思います。
3.離婚訴訟の場合
ちなみに、離婚訴訟の場合はまた話が変わってきます。
人事訴訟法4条1項に次のような規定があります。
第四条 人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
「当事者が普通裁判籍を有する地」とありますね。
当事者ということは、原告(訴える側)と被告(訴えられる側)のいずれも含んだ表現です。
ということは、冒頭の例でいうと、AとBのどちらが訴えを提起するかにかかわらず、大阪家庭裁判所と京都家庭裁判所のいずれにも管轄があるということになります。
したがって、離婚調停は大阪家裁で行ったけど、離婚訴訟は京都家裁で行うなんていうこともあり得るわけです。
当事務所がこれまで扱った事件でも、このように調停と訴訟で裁判所が変わるということは少なからずあります。
ただ、事案によっては被告側から移送の申立てがされることもあり、その場合には裁判所の判断によるということになります。
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